会長挨拶
黒澤 伸
(福島県立医科大学医学部麻酔科学講座)
公益社団法人日本麻酔科学会北海道・東北支部第13回学術集会を担当させていただきます公立大学法人福島県立医科大学麻酔科学講座の黒澤 伸です。このような機会を与えてくださいました会員の先生方、そして日々支えてくださる学会事務局の皆様に、あらためて御礼申し上げます。
さて、2020年以降にこのようなご挨拶をさせていただくときは、新型コロナウイルス感染症、いわゆるCOVID-19の感染拡大について触れざるをえません。本学会準備当初は、COVID-19オミクロン株による第8波が猛威を振るっており、首都圏、地方にかかわらず医療逼迫が懸念されている最中でした。しかし、本年5月には新型コロナウイルス感染症も5類感染症に移行し、本学術集会が開催される頃にはパンデミックも鎮静すると予想され、感染対策を継続しつつも現地で従来通り、対面式の集会を開催できることを願いつつ、交通の便を考えて仙台市で開催させていただく予定です。
思えば、COVID-19感染症は、私たち麻酔科医の先輩方が大きな社会貢献を継続して行ってきたことを図らずも再認識させてくれました。パルスオキシメトリなどの必須モニタリング、血液ガス分析、人工呼吸器、体外式膜型人工肺、これら重症患者や周術期患者の管理に現在用いられているものは、すべてその開発と臨床応用の段階で麻酔科医が深く大きく関わってきました。それは私たちの先輩が、少しでも安全で、確実で、進歩した医療を患者に届けたいという熱い思いを基礎に、日々の診療の中で浮かび上がる問いを科学として考察したからこそ可能になったと考えています。
COVID-19パンデミックにより学会での発表機会も少し減りましたが、今後はパンデミック後を見据え、特に若手の麻酔科医に、日常診療で浮かび上がったそれぞれの問いを学会の場で臆することなく発表してもらいたいと考えております。将来、私たちの先達にも負けないような、社会のリーダーとなる麻酔科医が育つ一助にこの学術集会がなることを祈っております。